行政の責任・使命
社会の発展、村の発展に尽くした高齢者に、幸せな老後と最期を提供するのは、行政の責任・使命(村の責任)である
泰阜村では、高齢者福祉の中心に『在宅福祉』という考え方を据えています。
村では、これまで村を支え、守り続けてくれた私達の先輩である高齢者の皆さんに、「この村に生まれてよかった」「ここで最期まで暮らせて幸せだった」と思ってもらえるような最期を提供するのは、あくまで行政(村)の責任であると考えています。
在宅福祉事業推進のための確認事項
- 誰でもが老い死んでいく現実を認める
- 障害をありのまま受けとめ、受け入れる
- 人として 高齢期をどう生きるか
今までの人生の延長として、幸せな最期を在宅で
昭和60年の初め頃の村の保健や医療分野では、人は元気で長生きすることのみが素晴らしいというような考え方が主流であり、特に保健分野は検診に明け暮れ、「老化」「病気」や『死』からは少々目を背けるような傾向ありました。
しかし、網野医師から提起された『老いること、障害をもつこと、病気に罹る、死ぬことはさけられない』『老いに対して医療は限界』『高齢者を支え、救うのは福祉』が、泰阜村の保健福祉医療を大きく変えていくことになります。
誰でもが老い死んでいくという現実を認め、障害もありのまま受け入れること。その中で生きていく人としての価値を見出しながら、人生最後の重要な高齢期を村全体で支えること。それは当然住み慣れた自宅で迎えられることなどが在宅福祉事業をすすめる上での、当時の保健福祉医療スタッフ間の思いと確認事項でした。
泰阜村の在宅福祉三原則
ノーマライゼーション
『老い』は誰にも訪れる
高齢になっても障害をもっても通常の人生の継続
自己決定
どこでどのように暮らすか どのように人生を終えるか、自己選択できるようにします。
社会参加
残る能力を活かし地域へどう参加するか
村では、在宅福祉の理念を遂行するために3つの原則があります。「ノーマライゼーション」に象徴されますがこれは精神薄弱者福祉の理念から発していますが、村の高齢者の皆さんが、たとえ障害をもったり、寝たきりの状態になっても、最期まで自宅での生活を続けることができ、いままでと同じ生活が継続していくことができる村でありたいと考えます。また、自分の老後の在り方を自分自身で決定でき、それを村全体で支えられる村でありたいと思います。
泰阜村在宅福祉の特色
特色1
- 必要なサービスは充分に提供する
高齢者の生活を支えるサービスに制限なし - 電話1本でサービスはタイムリーに
面倒な申請は後回し - 独居でも終末まで在宅を継続する支援
在宅での介護、看護、医療の提供
泰阜村の在宅福祉事業には、いくつかの特色があります。
- 在宅で暮らし続けるために必要なサービスは、介護保険の限度額などにしばらけることなく、充分に提供します。必要な方には必要なだけということです。
たとえば、独居で寝たきりに近い高齢者の方には、1日に5-7回ほどの訪問介護、デイサービス、入浴介助等々が必要な場合がありますが、サービスに制限は設けません。村で暮らし続けてほしいという思いから、在宅で暮らすために必要かサービスは必要なだけ提供します。 - とかくサービスをうける時には、まず役所へ申請書を提出するところから始まりますが、泰阜村では、とにかく困ったことがあれば役場、包括支援センター、社協へ電話を1本いただければすぐさま対応し、サービスの提供が行えます。申請書は後ほど。
- 高齢者本人や家族が希望するならば、一人暮らしであっても、終末まで自宅での暮らしを応援するための医療や看護、介護などのサービスを充分提供できるシステムを整えています。
- 在宅福祉推進のための保険福祉医療の連携
特色2
保険福祉医療の連携と包括ケア会議
- 在宅福祉推進のための保険福祉医療の連携
行政・診療所・包括支援センター・社会福祉協議会が常に連携、連絡を取り合い、高齢者を終末まで在宅で支え - 包括ケア会議の開
必要に応じて随時包括ケア会議を開催
各種の地域課題、ケースの支援法、サービスの在り方の検討
地域包括支援センターの活動
- 保健師、看護師、介護士、ケフマネージャーにより構成
- 毎日地域への訪問、服薬指導、生活相談、入浴介助等
高齢者全般、様々な障害者をもつ方、子供、中国帰国者の皆さん 等支援が必要な方 - 緊急対応 電話連絡により自宅へ訪問
村では、25年以上前より地域包括ケア体制を組み、在宅での福祉推進に取り組んでいます。診療所の医師はじめ看護師(医療)、行政(福祉、保健)、社会福祉協議会(福祉サービス)がチームとなって、村内の高齢者や障害を持つ方々の暮らしや生活の質をよりよいものにするために努力しています。