重要文化財 諏訪社 2棟
諏訪社の創立沿革は明らかでないが、武田氏の武士団・前沢若狭守が武運長久と子孫繁栄を祈願するために創建したといわれている。諏訪社本殿は1間社とし、若宮八幡宮本殿は2間社で左を八幡社、右を若櫻社の2室に仕切る。ともに流造、板葺の小社で、覆屋の左右に並び立つ。若宮八幡宮本殿には、元亀4年(1573年)の棟札が残り、本殿も形式手法が酷似しており、建物の様式からも同時期の建築と認められる。本殿及び若宮八幡宮は、総角柱で頭貫や身捨組物を用いないなど、簡明な構造を持ち、装飾的要素の少ない簡素な意匠である。縁を設けずに棚板と浜床を備える形式にも特色がある。この地方における鎮守社の姿を示している。保存状態もよく、室町時代に遡る同時期建立の神社が2棟揃って残り価値が高く、重要文化財に指定された。また、全体に風蝕が少なく、当初から覆屋によって保存されていたものと考えられ、現覆屋も重要文化財の附として指定された。